やちむん展から(カラカラ編)

やちむんには様々な酒器がありますが、

そのうちの一つ「カラカラ」をご紹介します。

 

こちらも酒器としては独特な形です。

中央、上方向にスッと伸びた口に、

ふっくらと膨らんだ胴に付いた細い注ぎ口。

 

琉球は中国や東南アジアとの交易により、

王族や高級士官向けの陶磁器を輸入していました。

その中から取り入れられた形であるとも言われます。

 

ちなみに、薩摩焼や九州の一部焼き物にも「カラカラ」と

呼ばれる酒器があります。

形は別物ですが、特徴は共通していることから、

琉球との交流の中で伝わったものかもしれません。

 

北窯・松田共司さんのカラカラ。

口、注ぎ口共にしっかりと取られ、ふっくらとした胴の形。

オーグスヤー(緑釉)の濃淡が良い雰囲気を醸し出します。

 

同じく共司さんによるカラカラ。

こちらは古いものを写して作っていただいたもので、

形の違いがお分り頂けるでしょうか。

陶土には、通常のやちむんの赤土ではなく白土が用いられています。

こちらもオーグスヤーの変化が良い風情を出しています。

 

若手の作り手によるものもあります。

釉薬の流れが面白く、登り窯ならではの風合いです。

 

陶片が中に入っていて、中身が空の状態で振ると「カラカラ」と

音がなるものもあります。

 

見るのも使うのも楽しいものです。

泡盛や焼酎をより愉しめることでしょう。


やちむん展から(マカイ編)

「マカイ」とはいわゆる碗のことです。

沖縄では戦後まで米を食べることはそう多くなかったでしょうし、

ご飯茶碗としてではなく、汁物や粥などといった料理に

使われたのではと思います。

 

作り手によっても多少の違いはありますが、

厚手に作られ、ふっくらとした胴にやや外側に開いた縁をもった形は、

やちむんらしい大らかさを象徴しているように思います。

 

照屋さんの6寸マカイ。

 

北窯・松田共司工房の4寸マカイ

 

若手の作り手による小さめのもの。

 

 

沖縄の土は、厚く、しっかりとした高台が取られるのが特徴的です。

 

ご覧いただいたように模様も様々です。

色々と手にとってご覧ください。

 

 

 


やちむん展から(絵付け編)

「やちむん展」には連日多くのお客様にいらしていただいています。

改めてやちむんの人気を実感します。

まだまだ店内はやちむん一色です。

新しい入荷もありますので、ぜひご覧にいらしてください。

 

さて、やちむんの魅力は様々です。形、絵付け、色など、、、

その中から、今回は絵付けをご紹介したいと思います。

しかし、やちむんの絵付けは実に多種多様で、なかなかご紹介しきれません。

ここでは代表的とも言える2つの模様をご紹介します。

 

まず、唐草模様。

大胆で力強く、いきいきと描かれます。

白化粧した地に、コバルト釉や呉須釉によって絵付けをする藍色の唐草が定番です。

(もちろん他にも飴や緑などもあります)

同じ唐草模様でも、無施釉の地に直接白土で描くものもあります。

いっちん(スポイトで描く技法)によるものや、筆で描くものなど。

ちなみにここまでご紹介した4枚は、全て異なる作り手によるものです。

同じ模様でも、作り手によって全く雰囲気が違います。

 

次に点打ち(てんうち)の模様です。

こちらも沖縄らしい大らかさと明るさが感じられる模様です。

収まり良く点が描かれていますが、動きを感じさせます。

焼成時の変化により、点の形が不均一になるのも面白いところです。

こちらも2人の作り手さんから、あえて同じ色の組み合わせを。

白化粧に絵付けされた飴・緑色から、三彩点打(さんさいてんうち)と呼ばれます。

 

 

冒頭でも述べたとおり、やちむんには実に多彩な模様があり、

さらに、同じ模様でも作り手によって違う表情を見せます。
ぜひ、店頭で色々と手にとってご覧になってください。

スタッフもご案内しますので、お気軽にお声がけください!

 

写真はホームページやインスタグラムでもご覧いただけますので

そちらもどうぞご覧ください。


石見焼・宮内窯の塩壺

先日のNHK BS「イッピン」では、石見焼が取り上げられ、

その中で、久野恵一が宮内窯と共に取り組んだ製品も紹介して頂きました。

 

そこで紹介された塩壺をご紹介します。

 

石見の土は塩分に強く、また、高温度での焼成に耐えることから硬質な性質を持ちます。

この性質を活かし、古くは甕などの大きな保存容器の生産が盛んでした。

 

そんな石見焼ならではの特長を活かして、

久野恵一が現在の生活にも適する品をとして考案、

作って頂いたものの一つが塩壺です。

 

丸い胴に、傘のような形の蓋を乗せた可愛らしい形。

 

白化粧土を刷毛でさっと引かれており、

石見のグレーの土色との淡いコントラストが良い風合いを醸し出します。

 

ちなみに石見焼のもので白化粧をすることはほとんどありません。

多くは透明釉をかけただけであったり、

保存容器としての堅牢さ(耐水性、耐酸性)を高めるため、

瓦などに用いられる来待釉をかけたもの(茶色く呈色します)が中心です。

先代の宮内謙一さんがかつて福岡県・小石原でロクロ職人として

働いていた経験から、小石原焼から白化粧をするアイディアを

採り入れたのではないかとのこと。

この塩壺にもうまく採り入れられたと言えるでしょう。

 

ちなみに、久野恵一が宮内さんに預けていた見本がこちら。

小鹿田焼・柳瀬朝夫窯の薬味入れが見本でした。

形は似ていますが、宮内さんならではの感覚と

石見焼の特長も合わさり、別物に生まれ変わったと言えるでしょう。

 

黒色もあります。

 

コロンとした形で、見るのも使うのも楽しい一品。

ぜひ生活に採り入れてみてください。

 

番組は4/3にも再放送予定です。どうぞご覧ください。

http://www4.nhk.or.jp/ippin/x/2018-04-03/10/18271/2118188/


永見窯より

永見窯から久々の入荷です。

(少量の入荷ですので、在庫状況はお問い合わせください)

 

永見さんは、陶芸家・船木研児氏の元で修行したのち、

島根県三刀屋で自作の薪窯を築き、製作を続けています。

陶土は同じく島根県・石見地方の赤土を自ら掘り、釉薬も全て自作。

窯を焚く為の薪も、自らチェーンソーで切り出します。

当店先代・久野恵一とのお付き合いも長く、

様々な製品づくりに取り組んできました。

 

パン皿。

特徴的な飴色は、地元・来待で採れる石を主原料とした来待釉です。

湯町窯の黄釉と基本的には同様と思われますが、色味の違いにも注目です。

平坦な皿ですので、パンだけでなくケーキなどにも。

 

通称リーチマグ。

リーチポタリー(バーナード・リーチが創立したイギリスの窯)で

作られていたマグカップの形をベースにしたものです。

鉄分を多く含む石見の赤土に灰釉をかけて還元炎焼成することで、

モスグリーンとも言える独特の柔らかい緑色が生まれます。

素焼きとなっている部分も、鉄分が表面に表出していて良い雰囲気。

シンプルで手に馴染む大きさ、口当たりも良いです。

 

同じくモスグリーンのグラタン皿。

こちらはオーブンに入れても大丈夫です。

 

このような角皿もあります。同じく飴色が良い雰囲気です。

 

他にも飯碗や蕎麦猪口など、シンプルで日々の食卓に使いやすいものが揃っています。

ぜひご覧ください。


瀬戸焼・一里塚本業窯の器

瀬戸焼・一里塚本業窯から入荷していますので、いくつかご紹介します。

 

瀬戸ならではの白い土に、シンプルに灰釉や飴釉をかけた器です。

灰釉は、黄色味がかった透明感のある暖かみのある色合いです。

飴釉は色の濃淡の変化が良い風合いを見せます。

 

灰釉の物は、焼成時に生まれる貫入(釉薬内のガラス質の細かいヒビ)があります。

使用とともに変化し、味わいが増していきます。

 

 

8寸皿。

しっかりと取られた縁と、内側に施された2本の線で

釉薬のコントラストが生まれ、自然な模様のようになっています。

シンプルですが、食卓で料理を引き立ててくれます。

 

 

片口。

写真奥の直線的に立ち上がる形は定番ですが、

今回は胴が丸型のもの(写真手前)も入荷しています。

 

飯碗。

スッと立ち上がる綺麗な形です。

 

今回ご紹介した他にもマグ、カップアンドソーサー、湯呑みなど。

いずれも、作り手・水野雅之さんの高いロクロ技術が感じられます。

 

ぜひ食卓に採り入れてみてはいかがでしょうか。


小鹿田焼ベテランの仕事

小鹿田焼のベテラン陶工、黒木力さんと柳瀬朝夫さんの仕事をご紹介します。
(既に完売した物も含まれます。ご了承下さい)

 

 

黒木力さんは88歳。

小鹿田焼の現役では最高齢ですが、器が持つ力強さは健在です。

 

 

打刷毛目や飛びカンナは、白化粧がたっぷりと施されて独特の風合いです。

 

 

力さんの1合壺。

 

 

 

続いて、柳瀬朝夫さん。

腰を悪くしてしまい、大きなものは出来なくなってしまいましたが、

朝夫さんならではの熟練した技術と感覚が感じられます。

 

 

大小湯呑み。

 

口付徳利。

 

 

朝夫さんの窯の大きめのものは、裕之さんが挽いています。

柳瀬朝夫窯のすり鉢。

 

尺1寸皿。

 

 

朝夫さんの力強さを見事に引き継いでいる迫力のある仕事です。


白木の木工品

食卓に載せる木工の器は、漆などで塗られたものが一般的では無いでしょうか。

ここでは、白木(=無塗装)のものをご紹介します。

 

先日ご紹介した、吉田璋也氏デザインのパン切り台。

富山・庄川で作られています。

白木としたことで、トチのきめ細かく柔らかな白色の肌を活かしています。

木目ははっきりとしておらず、ややぼんやりとしていますが、

肌の色と相まって良い雰囲気を醸し出しています。

 

縁の部分には溝が備えられており、パンを切った時に出るクズが

散らばらないよう考慮されています。

パン切り台ですが、もちろんパン以外にも使っていただけます。

 

続いて、定番のケヤキのパン皿。

パン切り台と同じく、富山・庄川のわたなべ木工芸にお願いして

作っていただいているものです。

ケヤキは力強く美しい木目が印象的です。

一枚一枚が全く違う表情を持つのが面白いです。

 

続いて、宮島のバターナイフとジャムスプーン。

こちらは桜や桑、ケヤキを材料に用いたものです。

 

 

いずれも白木ならではの木の温もりを感じられるものです。

天然の木ですので一つ一つ表情が異なりますし、

使い込むうちに油などが染み込み、風合いが変わっていくのも

白木ならではの楽しみです。

ぜひお気に入りの一品を見つけてください。


小鹿田焼・柳瀬晴夫窯 リム皿

小鹿田焼・柳瀬晴夫窯からの新着品を並べています。

 

今回、晴夫さんにお願いして作っていただいたリム皿。

飛びかんなや打ち刷毛目といった小鹿田焼定番の技法が

施されたシンプルなお皿です。

装飾技法を多彩に駆使した器が多い晴夫さんですが、

今回はあえて技法を抑えめにしたシンプルな器をお願いしました。

 

縁(=リム)をやや広くとり、外側をぐるっと飴釉で巻きました。

 


すっきりとした形で、小鹿田焼ならではの素朴さを残しつつも、

晴夫さんらしいモダンな雰囲気を持った器に仕上がりました。

日々の食卓に使いやすいのではないでしょうか。

 

サイズは六寸と七寸、色は白・ウス青(緑)・飴の3色です。

ぜひ店頭でご覧ください。


小鹿田焼・黒木富雄(昌伸)窯から

新年は小鹿田焼・黒木富雄(昌伸)窯から新着品を並べています。

いくつかご紹介します。

 

富雄さんの尺四寸皿。

富雄窯からの大皿は珍しいかもしれません。

熟練の仕事、堂々とした存在感。

上下に流された透明感のある青地釉と飴釉、

そして白化粧された肌も、強く焼かれていて綺麗です。

 

 

伏せ合わせ皿。

縁同士を重ねて窯の中に積むことからこの名前になりました。

縁の部分は素焼きになっています。

焼かれる際、内側が密閉されるためか還元がより強くかかるようです。

ウス青(緑)がややくすんでいて、渋い雰囲気。

比較的平たいので、洋皿や菓子皿としても使えそうです。

 

昌伸さん定番のマグカップ。

大きすぎず小さすぎず、ちょうど良く手に馴染みます。

小鹿田ならではのシンプルな技法で装飾されていますが、

モダンで良い雰囲気です。毎朝使いたくなります。

 

 

昌伸さんのピッチャー。

強く焼かれて飴釉が赤茶色に。

掛けられた青地釉も流れて面白いです。

 



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